2009/09/14

すざく衛星によるWHIM検出を目指したShapley superclusterの観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T13a

○三石郁之、山崎典子、竹井洋 (ISAS/JAXA)、大橋隆哉(首都大学東京)、佐藤浩介(金沢大学)、Massimiliano Galeazzi、Anjali Gupta(University of Miami)
バリオンの多くは大規模構造に付随し、現在では銀河団同士をつなぐフィラメント上に100万度以上の 高温プラズマ(WHIM: Warm-Hot Intergalactic Medium)として存在していることが予想されている (Cen $\&$ Ostriker, ApJ, 1999)。 しかしながらこれらのプラズマは未だ発見されておらず、ダークバリオンと呼ばれる。 これらは酸素輝線を多く放射していると考えられているため、 我々は全天でも大規模銀河団が最も多く集中するShapley supercluster (z$\sim$0.048)に着目し、 その中に広がると考えられるWHIMからの赤方偏移したO VII, O VIII輝線の直接的検出を目指した。 特にA 3556とA 3558間のフィラメント領域は、ROSAT衛星の観測から周囲の バックグランド領域より0.5-2 keVにて20 $\%$程度の超過成分の存在が確認されているため、 我々はこの領域に対しすざくによる観測を行った。 この領域は両銀河団からビリアル半径の0.9倍程度離れているため、 銀河団由来の放射は少なく、 もし放射が確認されればWHIMからの放射と考えられる。 フィラメント領域と併せ、赤経が1-4度程度離れた二ヶ所のオフセット観測を行い、 銀河系由来の放射の評価も行う。
フィラメント上、オフセット領域の全てで、O VII, O VIII輝線が検出されたが、 そのエネルギーに赤方偏移成分は見られなかった。 得られたフィラメント領域のO VII, O VIIIの放射強度は各々 $\sim$14, $\sim$4 photons s$^{-1}$ cm$^{-2}$ str$^{-1}$であり、 0.5-2 keVにおける超過成分が我々の銀河に由来する放射であることを 初めて突き止めることに成功した。 また、WHIM由来の放射強度およびそのプラズマ密度の上限についても議論する。

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