2009/09/14

すざく衛星によるAbell496銀河団の重元素分布の決定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/T

○川西 恭平、松下 恭子(東理大)、 佐藤 浩介(金沢大)
今回私達は、すざく衛星からAbell496銀河団の観測から、スペクトルをフィッティングすることでAbell496銀河団の高温ガス ICM(Intra Cluster Medium)中の重元素の分布を求めた。特に、マグネシウムはII型超新星爆発からのみ合成されるので、マグネシウムの重元素量を求め、鉄と比較するこ とでIa型とII型の寄与を調べることができる。XMM-Newton衛星でもAbell496銀河団の14'以内の酸素、硅素、鉄のアバンダンスが報告 されているが、酸素のアバンダンスの誤差は大きく、マグネシウムは輝線付近において検出器由来の強い輝線が発生していて、マグネシウムの輝線が隠されてし まい検出が困難である。
すざく衛星は、検出器由来のバックグラウンドが低く、エネルギー分解能が優れているため銀河団の観測に適している。今 回、中心から半径10'(約0.2$r_{180}$)以内で円環状の領域をとり、マグネシウム、鉄、硫黄、硅素の重元素分布を求めた。鉄、硫黄、硅素の 重元素量は中心領域から離れるほど減少していき、マグネシウムは中心から外側にかけて一定となっていることが見られた。この結果から、主にIa型から合成 される鉄とII型から合成されるマグネシウムの重元素量を比較すると、AbeII496銀河団中のII型の寄与は、中心から離れていくほど大きくなってこ とが見られた。また、鉄の質量に対する単位銀河あたりの光度(質量)の量(IMLR)の半径分布を求めた。IMLRは、中心から 0.1$r_{180}$付近まで増加傾向で、それよりも外側においては、わずかに増加の傾向が見られた。この結果から、鉄は中心付近で光度に比べて不足 しており、また外側に広がっていると言える。

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