2009/09/14

「すざく」による電波銀河PKS2356-61のX線起源の特定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T14b

○下田優弥、田代信、矢治裕一、瀬田裕美(埼玉大)、磯部直樹(京都大)、洪秀徴(日大)
近年の衛星によるX線観測で、電波ローブと銀河団ガスとの相互作用が発見され ている。これは、さまざまな説がある銀河団ガスの加熱問題を検討するうえでと ても重要であり、広く研究がなされている。これらの議論を進めるためには、天 体からのX線源を特定することが必要である。特に銀河団中の銀河からの放射 は、他の天体からの洩れ込が多いため、その特定が困難である。今回我々は、電 波銀河PKS2356-61の解析結果について報告する。この銀河のAGN は、電波観測で 活動性が高く、差し渡し6.3分角に及ぶ電波ローブを持つ。また、ジェットと同 程度の大きさしかない小規模の銀河群が、可視光観測で報告されている。小規模 の銀河群と比較して大きなジェットを持つので、ジェットによる銀河ガスの加熱 を調べる上で理想的な系である。また、「あすか」による観測で広がったX線源 が検出されたが、その起源については、ローブ由来か銀河群ガス由来なのか区別 できなかった(洪、2005年秋季年会ほか)。そこで我々は、より正確に議論を進 めるため、高感度の検出器を持つ「すざく」による観測を行った。その結果、 ローブを避けるように広がったX線源を確認した。そのスペクトルは熱的プラズ マで説明でき、得られた温度は銀河群の規模から推定されるものと一致した。

0 件のコメント:

コメントを投稿