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2009/11/26

Suzaku Observation of the Radio Halo Cluster Abell 2319: Gas Dynamics and Hard X-ray Properties

http://adsabs.harvard.edu/abs/2009arXiv0909.1358S
Sugawara et al 2009

We present the results of Suzaku observation of the radio halo cluster Abell 2319. The metal abundance in the central cool region is found to be higher than the surrounding region, which was not resolved in the former studies. We confirm that the line-of-sight velocities of the intracluster medium in the observed region are consistent with those of the member galaxies of entire A2319 and A2319A subgroup for the first time, though any velocity difference within the region is not detected. On the other hand, we do not find any signs of gas motion relevant to A2319B subgroup. Hard X-ray emission from the cluster is clearly detected, but its spectrum is likely thermal. Assuming a simple single temperature model for the thermal component, we find that the upper limit of the non-thermal inverse Compton component becomes $2.6 \times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$ in the 10-40 keV band, which means that the lower limit of the magnetic field is 0.19 $\mu$G with the radio spectral index 0.92. Although the results slightly depend on the detailed spectral modeling, it is robust that the upper limit of the power-law component flux and lower limit of the magnetic field strength become $\sim 3 \times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$ and $\sim 0.2 \mu$G, respectively. Considering the lack of a significant amount of very hot ($\sim 20$ keV) gas and the strong bulk flow motion, it is more likely that the relativistic non-thermal electrons responsible for the radio halo are accelerated through the intracluster turbulence rather than the shocks.

2009/09/16

「すざく」による Abell 1689 銀河団外縁部の高温ガスの研究

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T06a

○川原田円 (理研)、岡部信広(ASIAA)、中澤知洋(東大)、滝沢元和(山形大)、梅津敬一(ASIAA)
我々は「すざく」衛星を用いて、Abell 1689 銀河団の観測を行った。 4つのポインティング観測(38 ks づつ)を行うことによって、この 銀河団のビリアル半径 (15.8 arcmin = 2.9 Mpc) までカバーした。
注意深くバックグラウンドと点源を差し引いて解析した結果、高温ガス からのX線放射をビリアル半径まで検出することに成功した。ガス温度は、 中心部の $\sim $9 keV から 周辺部の $\sim$ 2 keV まで連続的に下降 していることがわかった。なかでも、銀河団の北東方向では、ビリアル半径 付近のX線表面輝度と温度が、中心から同じ距離にある他の領域に比べて 優位に高いことを発見した。表面輝度は他領域の$\sim$ 2 倍、温度は $\sim$ 5 keV である。
冷却関数の値は、5 keV では 2 keV よりも 50\% 程度大きい (重元素アバンダンス $\sim$ 0.1 を仮定) ので、5 keV 領域の 高温ガスの密度は、他の領域にくらべて、20\% ほど高い。温度と 密度から計算される 5 keV 領域のエントロピーは、他領域の $\sim$2 倍 になる。このことから、この領域で、構造形成時のショックや、 サブクラスターの衝突などの加熱プロセスが起こったと考えられる。 ところが、Sloan Digital Sky Survey (SDSS) のデータから、iバンド の高度分布図を書いても、この領域に有意な銀河集中は見られない。
弱い重力レンズと強い重力レンズをあわせた解析から、Abell~1689 の全質量分布は詳細に調べられている (Umetsu \& Broadhurst 2008)。 そこで、我々はすざく衛星のデータと重力レンズデータを組み合わせて 質量・温度・密度プロファイルの関係を調べた。高温ガスと暗黒物質の 静圧力平衡を仮定して、高温ガスの温度分布を解析的に求め (Komatsu \& Seljak 2001)、「すざく」で求めた温度分布データを比較したところ、 モデルとデータは、ビリアル半径付近を除いて、良く一致していることがわかった。 このことは、ビリアル半径では、高温ガスと暗黒物質の静水圧平衡が破れている 可能性を示唆している。

2009/09/14

すざく衛星によるWHIM検出を目指したShapley superclusterの観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T13a

○三石郁之、山崎典子、竹井洋 (ISAS/JAXA)、大橋隆哉(首都大学東京)、佐藤浩介(金沢大学)、Massimiliano Galeazzi、Anjali Gupta(University of Miami)
バリオンの多くは大規模構造に付随し、現在では銀河団同士をつなぐフィラメント上に100万度以上の 高温プラズマ(WHIM: Warm-Hot Intergalactic Medium)として存在していることが予想されている (Cen $\&$ Ostriker, ApJ, 1999)。 しかしながらこれらのプラズマは未だ発見されておらず、ダークバリオンと呼ばれる。 これらは酸素輝線を多く放射していると考えられているため、 我々は全天でも大規模銀河団が最も多く集中するShapley supercluster (z$\sim$0.048)に着目し、 その中に広がると考えられるWHIMからの赤方偏移したO VII, O VIII輝線の直接的検出を目指した。 特にA 3556とA 3558間のフィラメント領域は、ROSAT衛星の観測から周囲の バックグランド領域より0.5-2 keVにて20 $\%$程度の超過成分の存在が確認されているため、 我々はこの領域に対しすざくによる観測を行った。 この領域は両銀河団からビリアル半径の0.9倍程度離れているため、 銀河団由来の放射は少なく、 もし放射が確認されればWHIMからの放射と考えられる。 フィラメント領域と併せ、赤経が1-4度程度離れた二ヶ所のオフセット観測を行い、 銀河系由来の放射の評価も行う。
フィラメント上、オフセット領域の全てで、O VII, O VIII輝線が検出されたが、 そのエネルギーに赤方偏移成分は見られなかった。 得られたフィラメント領域のO VII, O VIIIの放射強度は各々 $\sim$14, $\sim$4 photons s$^{-1}$ cm$^{-2}$ str$^{-1}$であり、 0.5-2 keVにおける超過成分が我々の銀河に由来する放射であることを 初めて突き止めることに成功した。 また、WHIM由来の放射強度およびそのプラズマ密度の上限についても議論する。

2009/03/26

すざくによるEGRET未同定天体の観測 : 大規模構造形成に伴う非熱的放射の探査

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009a/html/T08a.html
○真喜屋龍(京都大)、戸谷友則、中澤知洋(東京大)

コンプトン衛星に搭載されたガンマ線観測装置EGRETによって観測された天体の うち、半分以上がいまだ未同定であり宇宙物理学上の大きな問題となっている。 今回我々はその内の一つ3EGJ1234-1318のすざくによる観測を行った。 \par この天体の周辺領域には多数の銀河・銀河団が密集してフィラメント構造を形成 しており、現在も活発に大規模構造形成が行われていることが示唆されている。 標準的な構造形成理論によれば、構造形成はまずCold Dark Matterが自己重力で 集中し、そこにバリオンガスが落ち込んで衝撃波加熱され、それが冷えて星や銀 河を作る、というシナリオで起こる。この衝撃波で加熱された電子とCMB光子に よる逆コンプトン散乱で、硬Xからガンマ線領域に渡る拡がった非熱的放射が期 待される。我々は3EGJ1234-1318の起源がこの非熱的放射であるという仮説を立 て、その検証のためにすざくによる観測を行った。 \par 今回我々は上記のフィラメントに沿ってすざくで4視野の観測を行った。いずれ の視野においてもすざくHXDでは有意なシグナルが検出されなかったため、バッ クグラウンド揺らぎの見積りからflux upper-limitのみ求めた。これは4視野と もに、EGRETの結果から期待される値と同程度であった。 すざくXISでは、過去にX線での観測例の無い二つのAbell銀河団A1555とA1558の 検出に成功した。これらについてスペクトル解析を行ったが、非熱的成分は検出 できなかった。 \par 以上の観測結果を踏まえ、上記の仮説への示唆を議論する。

すざく衛星によるAbell 2319銀河団の広帯域スペクトル解析

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009a/html/T07a.html
○菅原 知佳 (山形大)、滝沢 元和 (山形大)、中澤 知洋 (東京大)、奥山 翔(東京大)
Abell 2319銀河団は、z=0.0557の近傍の衝突銀河団であり、非一様な温度分布や コールドフロントが見つかっている。可視光観測から、視線方向に 二つのグループが重なっており、その速度差はおよそ3000km/s に達すると示唆されている。さらに、銀河団全体を覆う電波ハローが検出されて おり、610MHzで1Jyであることがわかっている。この放射は、銀 河団中に広がる、エネルギーがGeV程度の電子のシンクロトロン放射であると考え られる。同じGeV電子が宇宙マイクロ波背景放射の光子を逆コンプトン散乱で 放射する硬X線を検出できれば、磁場強度の決定も可能となる。
今回、我々はすざく衛星に搭載されているX線CCD検出器(XIS)と硬X線検出器(HXD) で、Abell 2319銀河団の広帯域スペクトル解析(0.5-40keV)を行った。2温度プ ラズマモ デルでフィットしたところ、15keVを越える超高温成分の存在が示唆された。ま た、 NXBやCXBの系統誤差を考慮すると、電波放射から予想される、 photon index$\sim 1.9$の非熱的放射は検出できなかった。熱的成分として 単純な1温度プラ ズマを仮定した場合、10-40keVで積分し た非熱的放射のフラックスの上限値は、$\sim 2\times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$(90%信頼度)と求まった。電波放射と比較すると、磁場強度の下限値 は、$\sim 0.2\mu$G となる。この結果は、$Beppo$-SAXによって求まっている$\sim 0.04\mu$Gよりも厳しい制限を与える。それ に加え、$Beppo$-SAX PDSよりもすざく衛星のHXDは絞られた視野を持ち、電波放 射はすざく衛星のHXDの視野に収まることから 、より信頼できる結果といえる。