2008/03/24

「すざく」衛星による Abell 2199 銀河団の観測II

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○川原田 円 (理研)、北口 貴雄、中澤 知洋 (東大)、牧島 一夫 (東大、理研)深沢 泰司 (広島大学)
2007年秋の年会における講演(T03a)に続いて、「すざく」衛星の Abell 2199 銀河団の解析結果について講演を行う。前回は、W23系のみのPIN (32/64個)を使用して解析した結果、有意な非熱的信号は見られず、 その上限値は、Center領域で、BeppoSAX衛星の2.3倍厳しい値となる ことがわかった。今回は、フレアしたPINを含むユニット(PIN4個)を除く、 60個のPINを用いた解析を行うことで、統計を改善した。その結果得られた、 非熱的放射に対するより厳しい上限について報告する。
Abell 2199 は非熱的放射のみならず、soft excessと呼ばれる 1 keV 以下のエネルギー領域における熱的成分からの超過成分が示唆 されてきた (e.g. Kaastra et al. 2002)。 soft excess はほか にもいくつかの天体でも示唆されてきたものの、それが本当に存在するのか、 またあるとしたら熱的なのか非熱的なのか、まったくわかっていない。
「すざく」の時代になって、唯一 Sersic 159-03で soft excess の存在が確かめられている (Werner et al. 2007)。そこで今回我々は、 Abell 2199にsoft excess が存在するかどうか調べるためにXISの スペクトルを解析し、予備的な結果ながら、有意なsoft excessが 見られないことがわかった。今回はこのAbell 2199 の soft excess の上限と、これまでの衛星の結果との整合性について議論する。

すざく衛星による銀河団A2256の観測

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日本天文学会2008年春季年会
T09a
すざく衛星による銀河団A2256の観測
長井雅章、○林田 清、田和憲明 (大阪大理)
銀河団の進化、成長に 銀河団のマージングがはたす役割は大きい。 銀河団A2256は、1)X線表面輝度に二つのピークをもち、2)構成銀河の 速度分布が二つ(あるいは三つ)の成分で構成され、3)X線観測で 得られるガス温度の分布が非一様で、特にコールドフロントと 呼ばれる不連続な構造をもつ、という特徴から、近傍の代表的な マージング銀河団として知られている。
我々は、2006年11月、すざく衛星を用いてこのA2256銀河団を観測した。 X線CCDカメラXISによって取得したメインクラスターとサブクラスター、 それぞれのX線スペクトルから、ガス温度が7.5keV, 5.7keVと異なる ことを確認した。さらに、それぞれの高温ガスの赤方偏移を X線スペクトルフィットから求め、メインクラスターの後退速度 がサブクラスターのそれより1590+700-750km/s (誤差は90\%信頼 限界の統計誤差)だけ大きいことを、はじめて明らかにした。 この値は、可視光で測定されている構成銀河の後退速度と矛盾がなく、 この銀河団において、メイン、サブそれぞれのクラスターが いままさに衝突をはじめた、マージングの初期段階にあることを 示している。
A2256は、Beppo-SAX, RXTE衛星による観測 で硬X線非熱的放射が検出された銀河団でもあり、 電波レリックと呼ばれるひろがった電波源の存在とあわせて、 非熱的過程が銀河団規模で起こっていることが示唆されている。 すざく衛星の観測によって得られた非熱的放射に関する制限に ついてもあわせて報告する。

「すざく」による高温銀河団ガス運動の探査

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日本天文学会2008年春季年会
T10a
「すざく」による高温銀河団ガス運動の探査
○金丸武弘 (東京理科大学)、川原田円(理化学研究所)、玉川徹(理化学研究所)、早藤麻美(東京理科大学)、牧島一夫(東京大学)、他「すざく」チーム

銀河団は、小さな銀河団同士の衝突合体を通じて現在のような姿に成長してきたと考られている。銀河団同士の衝突に伴って高温ガスがバルク運動を持つとする と、輝線スペクトルにドップラーシフトが生じると考えられる。そこで輝線のエネルギーを決定することで、衝突合体の様子に直接的な手がかりが得られると期 待される。今回は「すざく」が観測した、ガス温度分布やX線イメージの形状からリラックス状態と考えられるPerseus銀河団中心領域と Abell1060と、衝突合体中と思われるAbell 3376、Abell 3667を対象にしてX線スペクトル解析を行いガスバルク運動を調べた。「すざく」により現在まで挙げられてきた成果を上記の天体解析結果に加え、銀河団 の高温ガスバルク運動について報告する。
鉄輝線の位置依存性を調べるために、XIS検出器の視野をおよそ2.2'×2.2'、4.5'×4.5' の正方領域に分け、各領域についてX線スペクトルを抽出しモデルフィットを行った。静止系でのエネルギーと比較し各領域での視線速度を計算しバルク運動を 調べた。結果リラックス状態と考えられるPerseus銀河団中心領域とAbell 1060のガスバルク運動は音速を越えるような状態は確認出来なかった。衝突合体中と考えられるAbell 3376、Abell 3667のガスバルク運動は音速程度の速度差を生じていた。この事は銀河団ガスは衝突合体に際して音速を越えるガスバルク運動を生じ、次第にリラックスし ていくという銀河団 の衝突合体仮説が正しかった事を意味しているのかもしれない。

2008/03/01

Temperature and Metallicity Profiles of Galaxy Clusters-Background Study for X-ray CCD Camera onboard the Suzaku Satellite

Noriaki. Tawa,
"Temperature and Metallicity Profiles of Galaxy Clusters-Background Study for X-ray CCD Camera onboard the Suzaku Satellite-",
Earth and Space Science, Osaka University, March 2008.


ph.d 
can be found below
http://wwwxray.ess.sci.osaka-u.ac.jp/OskXrayTlabHP/lun_wen_yi_lan.html

"X線天文衛星「すざく」による銀河団高温ガスのバルクモーションと非熱的放射の探索

長井雅章、"X線天文衛星「すざく」による銀河団高温ガスのバルクモーションと非熱的放射の探索"、大阪大学大学院、理学研究科、宇宙地球科学専攻、2008年3月

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