2007/09/26

「すざく」衛星による Abell 2199 銀河団の観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2007b/html/T03a.html

○川原田 円 (理研)、北口 貴雄、中澤 知洋 (東大)、牧島 一夫 (東大、理研)深沢 泰司 (広島大学)
Abell 2199 はリラックスした銀河団であるが、これまでに BeppoSAX 衛星などによって非熱的放射の存在が示唆されている。もしリラックス した銀河団から非熱的放射が見つかれば、粒子加速が銀河団中で一般的に起こっ ている可能性が高まる。そういう意味で、Abell 2199 の非熱的放射の探査は 非常に重要な意義を持つ。
我々は「すざく」衛星の公募観測 に Abell 2199 とそのオフセット 位置、合計 5 ポインティングの観測提案を行なって、採択された。 実際の観測は 2006 年 10 月 はじめに行なわれた。
この観測中に、W1系の PIN 高圧を 400 V に下げるオペレーションが 行なわれたので、我々は今回、W23 系のみのデータを選択して、 解析を行なった。公開されている W23 用の 検出器バックグラウンドモデル (NXB model) を使用して PIN のデータから引くと、NXB の 5\% を越える ような 超過成分は、いずれの領域でも見られない。
この結果が真であるかどうか、NXB model の妥当性を評価すべく観測中 の地没スペクトルとNXB model を比較したところ、$12-25$ keV で NXB を 10\% 程度 NXB を 過大評価している傾向があった。すなわち、NXB の 引きすぎで信号が消えている可能性がある。
W23用の NXB model の系統誤差についてはまだ十分に検証が進んでいない。 本講演では、他の観測の地没データも用いて W23 NXB model の検証を行い、 PIN の信号を決定した上で、 XIS から決まる熱的成分と比べることで Abell 2199 の非熱的放射の上限を議論する。