ラベル black-hole の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル black-hole の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2010/09/28

X線衛星すざくによる電波銀河NGC1275の変動解析

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2010b/html/S08a

NGC1275は、ペルセウス銀河団の中心に位置する電波銀河で、Perseus A または 3C84と呼ばれている。ブレーザーと違い、ジェットを斜めから見ている電波銀河を調べることは、謎が多い電波ジェットの構造を明らかにするためには重要である。電波では、2006年から光度が増加し、2007年には新しい電波源が出現した(Nagai et al.2010)。一方γ線では、EGRETでは検出されなかったが、2008年にフェルミ衛星がNGC1275の位置に明るいガンマ線放射を見つけ、EGRETの時代に比べて増光していることがわかった。このため,ガンマ線は銀河団というよりNGC1275から出ていると考えられる。また、多波長スペクトルはブレーザーと似ていて、シンクロトロン自己コンプトンモデルで表されると報告されている(Abdo et al.2009, Kataokaetal.2010)。過去の10keV以下のX線観測ではNGC1275の位置にハードな点源が見つかっているが、最近の電波やガンマ線との増光との相関が不明であったり、またX線放射も円盤由来かジェット由来か不明である。

そこで本研究では、X線での時間変動を調べ、またスペクトルも抽出するため、X 線衛星すざくによる解析を行った。データは、すざくの検出器XISの2006年2月から2010年2月までの半年ごとのデータを用いた。まず、高温ガスの放射が支配的な4-5keVとNGC1275の寄与が大きくなっている9-11keVでイメージを比較し、その半径分布の比からNGC1275のみの成分を求めた。そして、NGC1275の光度変化を調べた結果、まわりのペルセウス銀河団がほとんど変動していないことと比べ、 NGC1275には時間変動の兆候がみられた。本講演では、スペクトル情報も合わせて解析について報告し、X線の起源について議論を行う。

2009/09/14

「すざく」による電波銀河PKS2356-61のX線起源の特定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T14b

○下田優弥、田代信、矢治裕一、瀬田裕美(埼玉大)、磯部直樹(京都大)、洪秀徴(日大)
近年の衛星によるX線観測で、電波ローブと銀河団ガスとの相互作用が発見され ている。これは、さまざまな説がある銀河団ガスの加熱問題を検討するうえでと ても重要であり、広く研究がなされている。これらの議論を進めるためには、天 体からのX線源を特定することが必要である。特に銀河団中の銀河からの放射 は、他の天体からの洩れ込が多いため、その特定が困難である。今回我々は、電 波銀河PKS2356-61の解析結果について報告する。この銀河のAGN は、電波観測で 活動性が高く、差し渡し6.3分角に及ぶ電波ローブを持つ。また、ジェットと同 程度の大きさしかない小規模の銀河群が、可視光観測で報告されている。小規模 の銀河群と比較して大きなジェットを持つので、ジェットによる銀河ガスの加熱 を調べる上で理想的な系である。また、「あすか」による観測で広がったX線源 が検出されたが、その起源については、ローブ由来か銀河群ガス由来なのか区別 できなかった(洪、2005年秋季年会ほか)。そこで我々は、より正確に議論を進 めるため、高感度の検出器を持つ「すざく」による観測を行った。その結果、 ローブを避けるように広がったX線源を確認した。そのスペクトルは熱的プラズ マで説明でき、得られた温度は銀河群の規模から推定されるものと一致した。