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2010/08/03

2009/11/27

Suzaku Constraints on the Soft and Hard Excess Emissions from Abell 2199

Authors:
M. Kawaharada, K. Makishima, T. Kitaguchi, S. Okuyama,
K. Nakazawa, and Y. Fukazawa
http://arxiv.org/abs/0911.5205
The nearby ($z=0.03015$) cluster of galaxies Abell 2199 was observed
by Suzaku in X-rays, with five pointings for ~20 ks each. From the
XIS data, the temperature and metal abundance profiles were derived
out to ~700 kpc (0.4 times virial radius). Both these quantities
decrease gradually from the center to peripheries by a factor of ~2,
while the oxygen abundance tends to be flat. The temperature within 12'
(~430 kpc) is ~4 keV, and the 0.5--10 keV X-ray luminosity integrated
up to 30'is (2.9 +- 0.1) x 1E44 erg s^{-1}, in agreement with previous
XMM-Newton measurements. Above this thermal emission, no significant
excess was found either in the XIS range below ~1 keV, or in the
HXD-PIN range above ~15$ keV. The 90%-confidence upper limit on the
emission measure of an assumed 0.2 keV warm gas is (3.7--7.5) x 1E62
cm^{-3} arcmin^{-2},  which is 3.7--7.6 times tighter than the detection
reported with XMM-Newton. The 90%-confidence upper limit on the 20--80
keV luminosity of any power law component is 1.8 x 10^{43} erg s^{-1},
assuming a photon index of 2.0. Although this upper limit does not
reject the possible 2.1 sigma detection by the BeppoSAX PDS, it is a
factor of 2.1 tighter than that of the PDS if both are considered upper
limits. The non-detection of the hard excess can be reconciled with
the upper limit on diffuse radio emission, without invoking the very
low magnetic fields (< 0.073 uG) which were suggested previously.

2009/11/26

Suzaku Observation of the Radio Halo Cluster Abell 2319: Gas Dynamics and Hard X-ray Properties

http://adsabs.harvard.edu/abs/2009arXiv0909.1358S
Sugawara et al 2009

We present the results of Suzaku observation of the radio halo cluster Abell 2319. The metal abundance in the central cool region is found to be higher than the surrounding region, which was not resolved in the former studies. We confirm that the line-of-sight velocities of the intracluster medium in the observed region are consistent with those of the member galaxies of entire A2319 and A2319A subgroup for the first time, though any velocity difference within the region is not detected. On the other hand, we do not find any signs of gas motion relevant to A2319B subgroup. Hard X-ray emission from the cluster is clearly detected, but its spectrum is likely thermal. Assuming a simple single temperature model for the thermal component, we find that the upper limit of the non-thermal inverse Compton component becomes $2.6 \times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$ in the 10-40 keV band, which means that the lower limit of the magnetic field is 0.19 $\mu$G with the radio spectral index 0.92. Although the results slightly depend on the detailed spectral modeling, it is robust that the upper limit of the power-law component flux and lower limit of the magnetic field strength become $\sim 3 \times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$ and $\sim 0.2 \mu$G, respectively. Considering the lack of a significant amount of very hot ($\sim 20$ keV) gas and the strong bulk flow motion, it is more likely that the relativistic non-thermal electrons responsible for the radio halo are accelerated through the intracluster turbulence rather than the shocks.

2009/11/02

X-ray Spectroscopy of the Core of the Perseus Cluster with Suzaku: Elemental Abundances in the Intracluster Medium

http://adsabs.harvard.edu/abs/2009ApJ...705L..62T

Tamura et al. 2009

The results from Suzaku observations of the central region of the Perseus cluster are presented. Deep exposures with the X-ray Imaging Spectrometer provide high-quality X-ray spectra from the intracluster medium. X-ray lines from helium-like Cr and Mn have been detected significantly for the first time in clusters. In addition, elemental abundances of Ne, Mg, Si, S, Ar, Ca, Fe, and Ni are accurately measured within 10' (or 220 kpc) from the cluster center. The relative abundance ratios are found to be within a range of 0.8-1.5 times the solar value. These abundance ratios are compared with previous measurements, those in extremely metal-poor stars in the Galaxy, and theoretical models.

2009/09/14

「すざく」による電波銀河PKS2356-61のX線起源の特定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T14b

○下田優弥、田代信、矢治裕一、瀬田裕美(埼玉大)、磯部直樹(京都大)、洪秀徴(日大)
近年の衛星によるX線観測で、電波ローブと銀河団ガスとの相互作用が発見され ている。これは、さまざまな説がある銀河団ガスの加熱問題を検討するうえでと ても重要であり、広く研究がなされている。これらの議論を進めるためには、天 体からのX線源を特定することが必要である。特に銀河団中の銀河からの放射 は、他の天体からの洩れ込が多いため、その特定が困難である。今回我々は、電 波銀河PKS2356-61の解析結果について報告する。この銀河のAGN は、電波観測で 活動性が高く、差し渡し6.3分角に及ぶ電波ローブを持つ。また、ジェットと同 程度の大きさしかない小規模の銀河群が、可視光観測で報告されている。小規模 の銀河群と比較して大きなジェットを持つので、ジェットによる銀河ガスの加熱 を調べる上で理想的な系である。また、「あすか」による観測で広がったX線源 が検出されたが、その起源については、ローブ由来か銀河群ガス由来なのか区別 できなかった(洪、2005年秋季年会ほか)。そこで我々は、より正確に議論を進 めるため、高感度の検出器を持つ「すざく」による観測を行った。その結果、 ローブを避けるように広がったX線源を確認した。そのスペクトルは熱的プラズ マで説明でき、得られた温度は銀河群の規模から推定されるものと一致した。

「すざく」衛星による衝突銀河団Abell 2142のオフセット観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T12a

○赤松 弘規、 石崎欣尚、大橋隆哉(首都大)、竹井洋、山崎典子、満田和久(ISAS/JAXA)、松下恭子(東京理科大)、佐藤浩介(金沢大)
Warm-Hot Intergalactic Medium (WHIM) は、近傍宇宙の見つかっていない「ミッシングバリオン」の大部分を占め、フィラメント状の宇宙の大規模構造を形成すると考えられている、宇宙の熱的進化の 鍵を握る物質である。WHIMは、銀河団周辺部に密度濃く存在していると考えられており、これまでに多くのWHIM の吸収線、輝線の観測が行われてきた(Kaastra et al. 2003, Finoguenov et al. 2003, Nicastro et al. 2005)。
現在、WHIMに対する最も厳しい酸素輝線の上限値は、「すざく」によるAbell 2218 ($z=0.175$)の観測で得られたものである(Takei et al. 2007)。 A2218 の観測では、厳しい上限値を与えたものの、赤方偏移したWHIMからのO$_{\rm V\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}$輝線が銀河内のO$_{\rm V\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}$輝線に重なっており、O$_{\rm V\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}$輝線は赤方偏移した結果、検出器システムの酸素吸収端にかかってしまっていた。 そこで我々は、酸素輝線の赤方偏移が最適となるように選んだ、 衝突銀河団 Abell 2142 ($z=0.0909$) の衝突軸に沿った方向を「すざく」衛星で ビリアル半径(2.7 $Mpc$)を超えて2ビリアル半径までを3ポインティング観測した。 観測は、2007年8-9月に行った。 「すざく」XISの低エネルギー側での高い感度によって、 ビリアル半径を超える領域($r = 2.7 \sim 4.05 Mpc$)で、約 1 keV の熱的放射成分の 兆候を見出した。 さらに、WHIMからの赤方偏移した酸素輝線の上限値を求め、O$_{\rm V\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}$輝線(521 eV)ではA2218 と同程度、 O$_{\rm V\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I\hspace{-.1em}I}$輝線(598 eV)で$I <$ 2$\times 10^{-7}$photons /cm$^{2}$/s/arcmin$^{2}$と約2倍厳しい制限を定めた。 本講演では、銀河団周辺部における銀河団放射とWHIMからの赤方偏移した酸素輝線の上限値について、最新の解析結果に基づき報告する。

すざく衛星による近傍の明るい銀河団 Abell 3627の観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T10a

○西野 翔、深沢 泰司、林 克洋 (広島大学)
Abell 3627 (Norma cluster)は、X線バンドでは全天で6番目に明るい、近傍 (Z = 0.016)の銀河団であり、近傍宇宙の巨大質量源であるグレート・アトラ クターの質量中心付近に位置している。過去に行われたROSATによる観測で は、中心から南東方向にelongateした構造をしていることが分かっており、重力 的にリラックスしていない衝突型銀河団の特徴を示している。また、ASCAによる 観測では、中心領域と南東領域では2 keV程度の温度の違いがあり、南東領域で 現在、銀河団衝突が起きている可能性が示唆されている。もし現在、銀河団衝突 が起きていれば、衝突合体に伴うプラズマ加熱や加速粒子からの非熱的放射が見つか る可能性がある。A3627は、銀河団進化の観点から、このように興味深い天体であ るが、銀河面付近 (銀緯 -7 度)に位置するため、他の明るい銀河団 に比べて、X線による観測は比較的少ない。
そこで我々は、2009年2月/3月にすざく衛星を用いて、A3627の中心部 (50 ks)/南 東部 (50 ks)の2点のポインティング観測を行った。X線CCD検出器 (XIS: 0.5 - 12 keV), 硬X線検出器 (HXD-PIN: 10 - 50 keV)で得られたスペクトルはいずれも、 5-7 keV程度の熱的放射でよく説明できるものであり、非熱的放射の兆候や超高 温ガスからの放射は確認できなかった。 次に銀河団の物理量の空間分布から、銀河団衝突の証拠をつかむべく、より 詳細なXISのデータ解析を行った。輝度マップや温度マップ上で銀河団衝突に伴 う明らかなジャンプ構造は見つからなかったものの、中心付近の半径10分くらい の領域ではおおよそ7 keVで等温であり、南東方向に向かうにつれて4.5 keV までゆるやかに低下するという、特徴的な温度構造が確認された。 本講演では、これらの解析結果から、現在の銀河団衝突の可能性について 議論する。

すざく衛星によるAbell496銀河団の重元素分布の決定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/T

○川西 恭平、松下 恭子(東理大)、 佐藤 浩介(金沢大)
今回私達は、すざく衛星からAbell496銀河団の観測から、スペクトルをフィッティングすることでAbell496銀河団の高温ガス ICM(Intra Cluster Medium)中の重元素の分布を求めた。特に、マグネシウムはII型超新星爆発からのみ合成されるので、マグネシウムの重元素量を求め、鉄と比較するこ とでIa型とII型の寄与を調べることができる。XMM-Newton衛星でもAbell496銀河団の14'以内の酸素、硅素、鉄のアバンダンスが報告 されているが、酸素のアバンダンスの誤差は大きく、マグネシウムは輝線付近において検出器由来の強い輝線が発生していて、マグネシウムの輝線が隠されてし まい検出が困難である。
すざく衛星は、検出器由来のバックグラウンドが低く、エネルギー分解能が優れているため銀河団の観測に適している。今 回、中心から半径10'(約0.2$r_{180}$)以内で円環状の領域をとり、マグネシウム、鉄、硫黄、硅素の重元素分布を求めた。鉄、硫黄、硅素の 重元素量は中心領域から離れるほど減少していき、マグネシウムは中心から外側にかけて一定となっていることが見られた。この結果から、主にIa型から合成 される鉄とII型から合成されるマグネシウムの重元素量を比較すると、AbeII496銀河団中のII型の寄与は、中心から離れていくほど大きくなってこ とが見られた。また、鉄の質量に対する単位銀河あたりの光度(質量)の量(IMLR)の半径分布を求めた。IMLRは、中心から 0.1$r_{180}$付近まで増加傾向で、それよりも外側においては、わずかに増加の傾向が見られた。この結果から、鉄は中心付近で光度に比べて不足 しており、また外側に広がっていると言える。

「すざく」によるTriangulum-Australis銀河団の観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T09a

○中島健太、中澤知洋(東大理)、奥山翔(東大理)、山田真也(東大理)牧島一夫(東大理/理研)
銀河団の重力ポテンシャルにとらえられている高温ガスの温度は、 典型的に6 keV、最も高い場合で12 keV程度と考えられてきた。 しかし「すざく」は、X線CCDカメラに加え硬X線検出器を用いる ことにより、衝突銀河団A3667から温度〜6 keVの主成分に加えて、 〜20 keVの超高温成分と思われる信号を得た(Nakazawa et al. 2009)。 他にも「すざく」はRXJ1347-1145から、温度 33 keV以上の成分 の兆候を得ている (Ota et al. 2008)。
この予期せぬ超高温成分は、銀河団の衝突に関連していると想像されるが、 測定された高い温度を説明するためには、非常に効率の良い加熱機構、 超高温プラズマを強く閉じ込め機構などが必要で、銀河団の衝突過程に重要 な手掛かりとなると期待される。そこで、この超高温成分の存在をより確か なものとし、その起源、加熱機構、意義などを明らかにしていくため、 サンプル数を増やすことが急務である。
Triangulum-Australis銀河団はこれまで「あすか」およびROSATによって 観測され、平均温度が$9.5\pm 0.7$ keVと報告されている (Markevitch et al. 1998)。この結果は、エネルギー帯域 0.5--10 keVを利用して得られた ものである。これに対し今回、我々はより広いエネルギー帯域を持つ 「すざく」を用い、Triangulum Australisを2008年10月11日9時から 13日15時まで、77 ks観測した。「すざく」硬X線検出器では 10-60 keV の範囲で、$0.204\pm 0.003 $ counts/sec の信号が検出された。これと 「すざく」X線CCDカメラのデータとをあわせ、0.8-60 keVの広帯域で スペクトルを解析すると、平均温度9.3 keV、abundance 0.27の放射で データが良く再現できることがわかった。超高温成分に関しては、 探査を続けている。

すざく衛星による衝突銀河団 Abell 85 の観測: 温度マップと subcluster の衝突方向

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T08a

○田中伸広 (国立天文台)、古澤彰浩 (名古屋大)、三好蕃(京都産業大)、田村隆幸 (宇宙航空研究開発機構)、高田唯史 (国立天文台)
衝突銀河団の研究は、銀河団進化の過程や Intra-culster Medium (ICM) の 性質を知るために重要であるだけでなく、宇宙の構造形成史やメンバー銀河の進化に ついての研究などにも影響を与える分野である。 X 線よる銀河団観測は、銀河団同士の衝突による ICM の温度上昇を観測するこ とができる。 また衝撃波面前後の ICM の密度や圧力の変化も得られる。 これらの物理量から衝突の方向や規模、衝撃波の速度などの銀河団衝突に関する 様々な情報を引き出すことができる。 すざく衛星は広い有効面積と低バックグラウンド(特に高エネルギー側)という特 徴をもっている。 これらの特性は、薄く拡がった成分の高温領域を精度よく検出することができる ため、 衝突銀河団の観測に最適である。
我々は、すざく衛星で観測した Abell 85 (以後 A85) の X 線観測データを用いて、 Hardness ratio マップとスペクトル解析から得た温度マップを作成した。 それらから、A85 の南方に位置する subcluster の北側 (impact region) と東 側 (hot region) に 高温領域 ($\sim$ 8 keV) が存在することが判明した。 高温領域のピークは hot region に位置しており、そこから南北方向に弓状に広 がっているように見える。 このように広がった高温領域は、先行研究 (Kempner et al. 2002, Chandra; Durret et al. 2005, XMM-Newton) では S/N が低くいため検出されていない。
我々の得た温度分布を見ると、南西方向から衝突したと考えるのが自然であるこ とが判明した。 本講演では A85 で起きている衝突現象について X 線および可視光の観測データ を用いて、詳細な議論を行う予定である。

「すざく」衛星によるペルセウス銀河団のX線分光と重元素組成比の測定

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T07a

○田村隆幸、「すざく」ペルセウスSWGチーム
「すざく」衛星によるペルセウス銀河団のX線分光観測について報告する。
ペルセウスは全天で最もX線で明るい銀河団である。また、ペルセウスは、衛星 のXIS検出器(CCD)の較正天体であり毎年2回の観測を行っている。これらの観測 データをできるだけ多く足す合すことによって、もっとも統計の良いX線スペク トルを取得することができた。これによって精密な重元素量の測定を行った。 Ne, Mg, Si, S, Ar, Ca, Fe, Niの組成比とそれらの空間分布が明らかになった。
銀河団ガスの中には、メンバー銀河中に残されているものと同程度の重元素が含 まれている。したがって、その組成比は、宇宙全体での重元素比を考える上で、 もっとも重要なものの一つである。また組成比は、メンバー銀河の中での星の生 成、超新星爆発による重元素の生成、およびそれらを銀河間空間に撒き散らす歴 史を物語るプローブである。今回の結果をこれまでの測定結果と比較する。ま た、化学進化について議論を行う。

X線と弱重力レンズによるZwCl0823.3+0425銀河団周辺の大規模構造フィラメントの解析

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009b/html/T04a

○渡邉瑛里(山形大)、中澤知洋(東京大)、浜名崇、宮崎聡(国立天文台)、岡部信広(東北大)、滝沢元和(山形大)、川原田円(理研)
ZwCl0823.3+0425銀河団の周辺には、この銀河団を中心に、主に北、北東、南 東、北西の4方向に質量分布が広がっており、いくつかのダークマターハローが Local Cluster Substructure Survey (LoCuSS)で確認されている。 これらのハローは大規模構造フィラメントを構成しており、やがて 宇宙の構造進化において、大きな銀河団を構成する基本要素であると考えられ る。また、宇宙の中で広大な体積を占めている とも考えられ、銀河団の重要な情報を含んでいる可能性も高い。 これら同一フィラメント中の複数のハローをweak lens解析とX線解析を組み合 わせて統計的に調べることで、質量やバリオン比、重元素アバンダンスなどと の相関関係を得ることができれば、やがて構造進化において ”銀河団がどのように進化していくのか”という統一的な理解に迫ることがで きる。 \\今回我々がすざく衛星でZwCl0823.3+0425(z=0.22)周辺の領域の観測を 行った結果、ZwCl0823.3+0425銀河団とその北側のハローに付随する明確 なX線放射が検出され、北東にある弱いweak lens信号のハロー領域からは、か すかなX線信号が検出さが検出された。一方で北東より強いweak lens信号を示す南東、北西の小さなハロー領域では、X線の信号がほとんど検 出されなかった。今回は前回の発表時よりもbackground modelを詳細に決定し、 X線解析を行った。 その結果、北側の天体はz=0.47に存在する6kev程度の銀河団であることが示唆 され、北東の天体は北側の銀河団に付随するz=0.47に存在する3keV程度の銀河団であ ることが示唆された。また北西の領域からは、bakgroundよりもわずかに高いX線 信号があることが分かった。 本講演では、すざく衛星のX線解析について発表した後、 すばる観測結果と比較しながら、これらダークマターハローの性質を議論する。

2009/06/29

Suzaku observations of Kalpha lines of iron from intracluster medium of the Coma cluster

Takuya Sato (Tokyo University of Science)
in
http://www-utheal.phys.s.u-tokyo.ac.jp/SuzakuConference2009/programme/list-of-contributed-posters/

see JAXA special report

2009/03/26

X線と弱重力レンズによるZwCl0823.3+4250銀河団周辺の大規模構造フィラメントの解析

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009a/html/T12b.html

○渡邉瑛里(山形大)、中澤知洋(東京大)、浜名崇、宮崎聡(国立天文台)、岡部信広(東北大)、滝沢元和(山形大)、川原田円(理研)
ZwCl0823.3+0425銀河団の周辺には、すばるweak lens surveyにより大小7つの ダークマターハローが確認さている。これらのハローは大規模構造フィラメントを 構成していると考えられ、大きさは比較的小さい。やがて宇宙の構造進化において、大 きな銀河団を構成する基本要素であるとも考えられる。 これら同一フィラメント中の複数のハローは、weak lens解析と X線観測を組み合わせることにより統計的に調べることが 可能である。その結果から質量やバリオン比、重元素アバンダンス、 可視光での銀河分布などとの相関を得ることができれば、構造形成に おいて'銀河団がどのように進化していくのか'という統一的な理解に迫ること ができる。
そこで今回我々は、すざく衛星でZwCl0823.3+0425(z=0.29)周辺の領域の観測 を行った。その結果、ZwCl0823.3+0425とその北側のハローに付随する明確な X線放射が検出された。X線スペクトルの解析から、 この北側の天体はz=0.47に存在する温度 6keV程度の銀河団であることが示唆され、可視光での銀河の赤方偏移 にも、その距離に別のピークがあることが分かった。 このことから、北側の領域は2つの大規模構造が重なっている事が明確になっ た。また、この銀河団の北東にある弱いweak lens信号のハロー領域から、感度限 界ギリギリのかすかなX線信号が検出された。 一方で、より強いweak lens信号を示す東、西の2つの小さなハロー領域では、 X線の信号が非常に弱い。
一見してみられるようなX線強度の個性は、バリオンの集中度の違いやバリオ ン比そのものの違いを示している可能性がある。 本講演では、すざく衛星による詳細なデータ解析について発表した後、すばる 観測結果と比較しながら、これらのダークマターハローの性質を議論す

すざく衛星によるAbell 2319銀河団の広帯域スペクトル解析

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009a/html/T07a.html
○菅原 知佳 (山形大)、滝沢 元和 (山形大)、中澤 知洋 (東京大)、奥山 翔(東京大)
Abell 2319銀河団は、z=0.0557の近傍の衝突銀河団であり、非一様な温度分布や コールドフロントが見つかっている。可視光観測から、視線方向に 二つのグループが重なっており、その速度差はおよそ3000km/s に達すると示唆されている。さらに、銀河団全体を覆う電波ハローが検出されて おり、610MHzで1Jyであることがわかっている。この放射は、銀 河団中に広がる、エネルギーがGeV程度の電子のシンクロトロン放射であると考え られる。同じGeV電子が宇宙マイクロ波背景放射の光子を逆コンプトン散乱で 放射する硬X線を検出できれば、磁場強度の決定も可能となる。
今回、我々はすざく衛星に搭載されているX線CCD検出器(XIS)と硬X線検出器(HXD) で、Abell 2319銀河団の広帯域スペクトル解析(0.5-40keV)を行った。2温度プ ラズマモ デルでフィットしたところ、15keVを越える超高温成分の存在が示唆された。ま た、 NXBやCXBの系統誤差を考慮すると、電波放射から予想される、 photon index$\sim 1.9$の非熱的放射は検出できなかった。熱的成分として 単純な1温度プラ ズマを仮定した場合、10-40keVで積分し た非熱的放射のフラックスの上限値は、$\sim 2\times 10^{-11}$ erg s$^{-1}$ cm$^{-2}$(90%信頼度)と求まった。電波放射と比較すると、磁場強度の下限値 は、$\sim 0.2\mu$G となる。この結果は、$Beppo$-SAXによって求まっている$\sim 0.04\mu$Gよりも厳しい制限を与える。それ に加え、$Beppo$-SAX PDSよりもすざく衛星のHXDは絞られた視野を持ち、電波放 射はすざく衛星のHXDの視野に収まることから 、より信頼できる結果といえる。

すざく衛星によるFornax銀河団のオフセット観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2009a/html/T05a.html
○小宮山 円、松下 恭子(東理大)、佐藤 浩介(金沢大)、大橋 隆哉(首都大)、山崎 典子、竹井 洋(JAXA)、中澤 知洋(東大)
今回我々は、すざく衛星によるFornax銀河団のオフセット観測から 求めた銀河団ガス中の重元素分布について報告する。 Fornax銀河団は温度 1.3--1.5~keV のICMをもつ 我々の近傍の小銀河団である。 Chandra衛星などによる先行研究から、ICMの分布が非対称であり、 cD銀河が銀河団ポテンシャルの中心に いないことがわかっている。
高温銀河団では鉄の質量と銀河光度の比は一定であるのに対し、銀河群 や小規模銀河団では小さくなることがわかっている。 すざく SWG時間におけるFornax銀河団の中心部の観測では、 北方 0.13~$r_{180}$ 以内の鉄と酸素の質量--光度比が求まり、 2--3~keV の銀河団での値の 1/10 程度であった。 銀河群や小規模銀河団のガスは高温銀河団より 広がっているので、 重元素もともに銀河団の外側へと広がっている可能性がある。
銀河団ガスの重元素の起源をIa型超新星とII型超新星に分離するためには、 両方から合成される鉄・硅素の比だけでなく、 II型超新星のみから合成される酸素・マグネシウムの量が重要となる。 銀河団中心部ではcD銀河からの寄与が大きいことを考えると、 銀河団成分を正確に評価するには 0.1~$r_{180}$ より外側の重元素分布 の決定が不可欠である。
今回は、Fornax銀河団のcD銀河 NGC 1399 より約 100--200~kpc 離れたオフセット領域3ヶ所の観測を用いて $\sim$~0.1--0.2~$r_{180}$ の領域の重元素量を求めた。 北側では 0.06--0.2~$r_{180}$ の範囲で 中心部の観測結果と矛盾が無く、 酸素・マグネシウム・硅素はほぼ一定、 鉄は少し減少していた。 南側 0.1~$r_{180}$ 周辺の領域では、 酸素・マグネシウム・硅素は北側と同程度であったが、 鉄のアバンダンスは北側よりも低くなった。 これは、 Ia型超新星爆発の寄与が北と南で違っていることを 示唆している。