2008/03/24

「すざく」による高温銀河団ガス運動の探査

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2008a/html/T10a.html
日本天文学会2008年春季年会
T10a
「すざく」による高温銀河団ガス運動の探査
○金丸武弘 (東京理科大学)、川原田円(理化学研究所)、玉川徹(理化学研究所)、早藤麻美(東京理科大学)、牧島一夫(東京大学)、他「すざく」チーム

銀河団は、小さな銀河団同士の衝突合体を通じて現在のような姿に成長してきたと考られている。銀河団同士の衝突に伴って高温ガスがバルク運動を持つとする と、輝線スペクトルにドップラーシフトが生じると考えられる。そこで輝線のエネルギーを決定することで、衝突合体の様子に直接的な手がかりが得られると期 待される。今回は「すざく」が観測した、ガス温度分布やX線イメージの形状からリラックス状態と考えられるPerseus銀河団中心領域と Abell1060と、衝突合体中と思われるAbell 3376、Abell 3667を対象にしてX線スペクトル解析を行いガスバルク運動を調べた。「すざく」により現在まで挙げられてきた成果を上記の天体解析結果に加え、銀河団 の高温ガスバルク運動について報告する。
鉄輝線の位置依存性を調べるために、XIS検出器の視野をおよそ2.2'×2.2'、4.5'×4.5' の正方領域に分け、各領域についてX線スペクトルを抽出しモデルフィットを行った。静止系でのエネルギーと比較し各領域での視線速度を計算しバルク運動を 調べた。結果リラックス状態と考えられるPerseus銀河団中心領域とAbell 1060のガスバルク運動は音速を越えるような状態は確認出来なかった。衝突合体中と考えられるAbell 3376、Abell 3667のガスバルク運動は音速程度の速度差を生じていた。この事は銀河団ガスは衝突合体に際して音速を越えるガスバルク運動を生じ、次第にリラックスし ていくという銀河団 の衝突合体仮説が正しかった事を意味しているのかもしれない。

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