2008/03/24

すざく衛星による銀河団A2256の観測

copy from http://www.asj.or.jp/nenkai/2008a/html/T09a.html

日本天文学会2008年春季年会
T09a
すざく衛星による銀河団A2256の観測
長井雅章、○林田 清、田和憲明 (大阪大理)
銀河団の進化、成長に 銀河団のマージングがはたす役割は大きい。 銀河団A2256は、1)X線表面輝度に二つのピークをもち、2)構成銀河の 速度分布が二つ(あるいは三つ)の成分で構成され、3)X線観測で 得られるガス温度の分布が非一様で、特にコールドフロントと 呼ばれる不連続な構造をもつ、という特徴から、近傍の代表的な マージング銀河団として知られている。
我々は、2006年11月、すざく衛星を用いてこのA2256銀河団を観測した。 X線CCDカメラXISによって取得したメインクラスターとサブクラスター、 それぞれのX線スペクトルから、ガス温度が7.5keV, 5.7keVと異なる ことを確認した。さらに、それぞれの高温ガスの赤方偏移を X線スペクトルフィットから求め、メインクラスターの後退速度 がサブクラスターのそれより1590+700-750km/s (誤差は90\%信頼 限界の統計誤差)だけ大きいことを、はじめて明らかにした。 この値は、可視光で測定されている構成銀河の後退速度と矛盾がなく、 この銀河団において、メイン、サブそれぞれのクラスターが いままさに衝突をはじめた、マージングの初期段階にあることを 示している。
A2256は、Beppo-SAX, RXTE衛星による観測 で硬X線非熱的放射が検出された銀河団でもあり、 電波レリックと呼ばれるひろがった電波源の存在とあわせて、 非熱的過程が銀河団規模で起こっていることが示唆されている。 すざく衛星の観測によって得られた非熱的放射に関する制限に ついてもあわせて報告する。

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